鬼っ子

GW半ば。今日は、娘①②は待ちに待ったジィジの家でお泊りだ。

私にはそういう記憶がない。しかし手元のアルバムに1枚の写真がある。赤ちゃんの私が、母方の祖母に抱かれている。脇にはハハと祖父。祖母も祖父も無表情だ。

祖母は、祖父の最後にあたる5番目の妻である。ハハとは血が繋がっていない。ハハの母(実祖母)は4番目の妻で持病の心臓病で入院しながら10人子どもを産んで40代で早世した。実祖母、すごい。まあそれはおいといて、写真の祖母は子どもを生まなかった。祖母は子がいないせいか、ある時から子どもの人形を溺愛していたらしい。子ども時代、ハハがその人形に興味を示すと、その子(人形)をいじめたといって祖父に訴えた。祖父は「なんだとー」と、ハハを雪に放りだして、電気コードの先で殴り続ける。地獄絵図だ。貧乏と継母いじめと折檻、ややこしい家族関係。ともかく、関わり合いたくない人々。しかし、そんなハハは前も書いたがめちゃくちゃ明るい面白いおばさんである。人は環境に因らないのか?

さて、ハハは守っていた末の妹を嫁にだしたあと、逃げるように遠方に嫁ぎ、私が生まれた。

写真は、その私を連れて帰郷した際の1枚だったのである。その写真についてハハは「おばあちゃんはね、赤ちゃんのトミーを見たとたん、鬼っ子だ!っていってね。じぶんの人形は絶対に触らせないって、赤ちゃんのあなたと人形の取り合いまでしたのよ」と言った。鬼っ子とは「親に似てない子」という意味である。ハハは自分の子どもを馬鹿にされた気分だったのだろう。いつも話すときちょっと悔しそうだった。

それからだいぶ経って、私がオトナになったころ。たまたまその写真を叔母(末の妹)が見て言った。「めずらしい。おばあちゃんが抱っこしてる」と。末の妹は結婚後も祖父母から近いところに住んでいた。祖父母の派手な夫婦げんかの仲裁などで実家を度々訪れていたらしい。叔母には子どもが3人いるが、じつは祖母は一度も3人の誰も抱っこしたことがないというのだ。

おそらく、祖母は幼いハハや叔母を可愛がったことはない。憎らしいとさえ思っていただろう。たんに子どもを可愛いと思えるタチの人ではなかったのかもしれない。でも、人形を子ども代わりに溺愛する。こじれた人。

親に似ない子、鬼っ子。

親である私のハハに似ない、憎らしいハハに似ていない、子。ハハは私を馬鹿にしたと思ったようだが、どうだろう?私は祖母の愛情とは思わないけど、なんとなく、私に興味があったように思う。

写真に残る、慣れてないかんじで私を抱っこする無表情な祖母。いまとなっては、ちょっと話をしてみたかった人である。

 

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