私はあなたの母親よ!と言われた日が親離れ記念日。

「彼(夫)が一番の相談相手だからなあ。」と何気なく言ってしまった際、母が激怒して私に放った言葉だ。「私はあなたの母親よ!」と。母である自分は娘の一番の相談相手であるべき、いや、そうだろう、と言いたかったのだろう。

さて。私は折り紙で作った二つの小箱を持っている。

子どもは娘が二人。夫と私は年齢がいってからの結婚で子どもをもうけた。一人目にあたる長女から高齢出産だ。そして次女が生まれる間に、二度流産した。理由は高齢のためじゃないかな、と医者は言っていた。

二回の流産とも手術が必要で、どうやら私はがっちり抱え込んで離さないらしい。

流産はとてもショックだ。でも、なぜか涙はでなかった。何か一枚隔てたような悲しみだった。お世話になった病院は全身麻酔で手術して一泊入院する。二度の入院とも、夜中になるとザワザワしてきて心が落ち着かず、地下の自販機でコーラを買ってきてはベッドに腰掛けて飲んだ。

二回目の手術前、実家に預けた娘①への土産に折り紙でもと思い、売店で色紙がついてる折り紙の本を買った。どうせ夜はザワザワして眠れない。その夜、ザワザワ対策のコーラを飲みつつ、色紙を折った。猫の顔、鯉、はねるカエル、小鳥、小舟、財布。そのときふと思った。「あの子たちには何も折ってあげないまま終わっていくんだ。」と。娘①と2度の流産のあの子たち、三人のために私は朝まで紙を折り続けた。

翌朝、夫に迎えにきてもらい帰宅した。久しぶりにふたりっきりだから、娘①を迎えに行く前に食事でもしていくか、それとも何処かよりたいところあるか、と夫が言った。私は洗濯をたたみながら「うん、どこで食べてく?あ、そうだ。今回のことお義母さんには、また言わないほうがいいよね。ダメだったんだし・・・言っちゃうまえでよかったかも。」と返事をした。自分の口から出た言葉にカチンと止まった。

「わーん。」私は泣いた。

なかったことにできないよ。もう最初からいなかったフリできないよ。そんなこと、じぶんだって聞きたくない。他人さんにいうことじゃないよ。でも、親である私たちですら、あの子たちをなかったかのようにするのはやめよう。やめたい。ダメでも、いなくても、家族だよ。次の妊娠のときには誰かに伝えよう。ダメだったらダメでいい。その事実を言えばいい。変な顔をされても。せめて家族の中だけでも。

私は彼にしがみついて、まくしたてた。彼は「うん、うん」とだけいった。一通り泣いたら、私も夫も何もなかったような顔をして娘①を迎えにいった。その話もそれきり。でも、誰かと結婚してよかった。両親にも分かってもらえないだろう、出来事を誰かと深く共有して泣くことができる。彼はそこまでセンチメンタルじゃないだろうけど、生まれてはじめて親友ができた気がする。結婚は私に家族以外の相談相手、一番の親友を与えてくれた。頭にくることがその倍あっても、ね。

流産した二人への折り紙は、同じく折った小箱に詰めてある。娘①に渡した折り紙はあっという間にどっかにいっちゃった。

そんなこんなで、ある日、母に「一番の相談相手は・・・」になってしまったのだ。母にしたら晴天のへきれき。私の親離れだったのかも。

 

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